結論:
- オルカンは「5年以上の長期」で資産形成したい人には買う価値あり。短期で使う予定のお金や、元本割れが絶対イヤな人には向かない。
- 月5万円を積み立てると、10年で元本600万円 → 約700〜860万円程度になる想定(年3〜7%)。
- その資産から年3〜4%ずつ取り崩すと、10年後の不労所得イメージは月約1.9〜2.6万円。
- 1〜3年の短期間では、不労所得はほぼ期待できず「育成期間」と考えた方がいい。
以下、具体的な数字で整理する。
1. 悩みの整理
この記事は、次のような人向け。
- オルカンを買うべきかどうか迷っている
- 月5万円の積立で、実際いくら増えるのか数字で知りたい
- 1・2・3・5・7・10年後に、毎月どれくらい不労所得がもらえそうかイメージしたい
まずはオルカンが何者かを簡単に整理してから、シミュレーションに入る。
2. オルカンとは何か(超ざっくり)
正式名称は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」。
ポイントだけ押さえると、
- 中身:世界中の株式(日本+先進国+新興国)
- これ1本でかなり広く分散投資できる
- 手数料(信託報酬)が安いインデックスファンド
- 基本は「長期保有前提」の商品
世界経済全体の成長を丸ごと取りにいくイメージのファンドなので、
- 個別株を選ぶ自信はない
- でも銀行預金だけでは増えない
という人が、長期で積み立てるのに向いている。
3. 月5万円オルカン積立のシミュレーション
3-1. 前提条件
- 積立額:毎月5万円
- 期間:1・2・3・5・7・10年
- 想定利回り:年 3% / 5% / 7%
- 複利・毎月積立で計算
- 税金や為替、手数料の細かい部分は「ざっくりイメージ」のため無視
世界株の実質リターンは、長期平均でだいたい年4〜7%程度と言われることが多いので、その前後の数字を使っている。
3-2. 元本と将来の評価額
単位は「万円」に丸めている。
| 積立年数 | 元本(合計) | 年3%の場合 | 年5%の場合 | 年7%の場合 |
|---|---|---|---|---|
| 1年 | 60万円 | 約60.8万円 | 約61.4万円 | 約62.0万円 |
| 2年 | 120万円 | 約123.5万円 | 約125.9万円 | 約128.4万円 |
| 3年 | 180万円 | 約188.1万円 | 約193.8万円 | 約199.7万円 |
| 5年 | 300万円 | 約323.2万円 | 約340.0万円 | 約358.0万円 |
| 7年 | 420万円 | 約466.7万円 | 約501.6万円 | 約540.0万円 |
| 10年 | 600万円 | 約698.7万円 | 約776.4万円 | 約865.4万円 |
※「年5%」が、世界株インデックスの割と現実的なラインと考えてよい。
4. 何年後に毎月いくらの不労所得が見込めるか
4-1. 取り崩しの考え方
オルカンは基本的に**分配金がほぼ出ない(ファンド内で再投資される)**タイプなので、不労所得を得たいときは、
貯まった資産を毎年○%ずつ売却して現金化する
と考える。
長く資産を持たせたいなら、
- 年3〜4%取り崩し
くらいが一つの目安になる。
ここでは、さきほどの「年5%で増えたケース」の評価額を使って、
年3%・4%取り崩したときの月あたりの不労所得の目安を出す。
4-2. 年5%で運用できたケースでの、不労所得シミュレーション
(評価額は「年5%」の列を使用)
| 積立年数 | 評価額(年5%) | 年3%取り崩し → 月いくら | 年4%取り崩し → 月いくら |
|---|---|---|---|
| 1年 | 約61.4万円 | 月約1,500円 | 月約2,000円 |
| 2年 | 約125.9万円 | 月約3,100円 | 月約4,200円 |
| 3年 | 約193.8万円 | 月約4,800円 | 月約6,500円 |
| 5年 | 約340.0万円 | 月約8,500円 | 月約1.1万円 |
| 7年 | 約501.6万円 | 月約1.2万円 | 月約1.7万円 |
| 10年 | 約776.4万円 | 月約1.9万円 | 月約2.6万円 |
※ざっくり四捨五入した金額。
4-3. ここから読み取れること
- 1〜3年の短期では、不労所得はほぼお小遣いレベル
- 5年でようやく「月1万円前後」
- 10年積み立てて、ようやく月2万円前後のライン
つまり、オルカン積立で不労所得を作る発想は、
- 「短期で生活費を賄う」というより
- 「10年単位で資産の土台を作り、そこから少しずつ取り崩す」
というイメージになる。
5. オルカンを買うべき人/やめておいた方がいい人
買うべき人
- 5年以上、できれば10年近く「使う予定のないお金」を運用に回せる
- 評価額が一時的に▲20〜30%になっても耐えられる
- 毎月の積立を自動設定して、あとはほとんど触らず放置できる
- 「不労所得を早く作る」より「長期で資産を増やし、将来の選択肢を増やす」ことを重視する
やめておいた方がいい人
- 数年以内に絶対に必要なお金を投資に回そうとしている
- 元本割れの可能性を受け入れられない
- 暴落時に冷静でいられる自信がない
- 毎日評価額を見て一喜一憂してしまう
オルカン自体は「世界分散+低コスト」で合理的な商品だが、
その人のメンタルと時間軸に合っていなければ意味がない。
6. 具体的な実行ステップ
オルカンでいくと決めた場合、やることは単純。
- ネット証券(SBI・楽天・マネックスなど)で口座開設
- NISA口座を開く(税優遇枠を優先して使う)
- 商品名「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を選択
- 毎月5万円の積立設定をする
- 基本は放置。評価額チェックは多くても年1〜2回程度にする
「オルカン×自動積立」で、投資の手間はほぼゼロにできる。
7. まとめ
- 月5万円のオルカン積立は、10年で元本600万円 → 700〜860万円程度を狙える長期投資
- 不労所得目線で見ると、
- 5年:月8,000〜1.1万円
- 10年:月1.9〜2.6万円
くらいが一つの目安
- 短期で大きな不労所得を狙う手段ではなく、「時間を味方につけた資産形成の土台」として使うのが現実的
「オルカンを買うべきか迷っている」という悩みは、
自分が許容できる期間とリスクを数字でイメージできるかどうかでほぼ決まる。
上のシミュレーションを、自分の家計・目標金額に当てはめて、
「どの金額を、何年続けるか」を決めていけばいい。

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