結論から言うと、
- 通貨ペアは、現時点の値動きとレンジのわかりやすさから
①EUR/AUD(ユーロ/豪ドル) ②AUD/NZD(豪ドル/NZドル) ③AUD/USD(豪ドル/米ドル)
の3つを「グリッド型(リピート系)自動売買向きの候補」として優先。 - 松井証券の自動売買では、
・「直近1年のレンジの7〜8割だけを使う」
・「注文値幅=益出し幅」を基本にしたシンプルな設定
を軸に、レンジと刻み幅を決めるのが安全寄り。
この記事では、
2025年11月22日時点の実際の為替データを使いながら、
- グリッド型自動売買に向く通貨ペアの条件
- 最新データから見たおすすめ通貨ペア3つ
- 松井証券FXでの具体的な自動売買(リピート系)設定例
まで、数字ベースで解説します。
1. グリッド型(リピート系)自動売買とは?
松井証券のFX自動売買は、
- 注文レンジ(上限レート・下限レート)
- 注文値幅(何pipsごとに注文を並べるか)
- 益出し幅(利確幅)
- 運用停止ライン(損切りライン)
などを自分で決めておくと、
そのルール通りに新規注文と決済注文を繰り返してくれる 「リピート系自動売買」 です。
例:
「EUR/AUDを1.70〜1.84の間で、0.0050ごとに売り注文を並べ、
それぞれ0.0050下がったら利確する」
と決めておけば、あとはそのレンジ内で自動的に売買が繰り返される。
レンジ相場の中でコツコツ売買を繰り返して利益を積み上げていくのが基本コンセプトです。
2. グリッド型自動売買に向く通貨ペアの条件
グリッド型FXに当てはめると、「良い通貨ペア」の条件は次の4つです。
- 直近1年で“そこそこ動いている(ボラがある)
→ 動かなければ約定せず、資金を寝かせるだけ。 - 一方通行のトレンドになりにくく、レンジが想定しやすい
→ グリッドは「行ったり来たり」で真価を発揮。 - スプレッドが極端に広くないメジャー〜準メジャー通貨
→ コストが高いとグリッドの優位性が消えやすい。 - 情報が取りやすい(ニュース・金利・政策など)
→ レンジ見直しや運用停止ラインを決める判断材料になる。
この条件でスクリーニングすると、
2025年11月時点では、EUR/AUD・AUD/NZD・AUD/USD が候補に挙がります。
3. 最新データで見る「狙いやすい」通貨ペア3選
3-1. EUR/AUD(ユーロ/豪ドル)
- 現在レート:1.78台後半(1EUR≒1.78AUD)
- 直近1年の52週レンジ:1.5899〜1.8555
特徴
- 直近1年で約 2,600pips(0.2656)の幅で上下している、かなり動きの大きい通貨ペア。
- レンジ上限付近と下限付近の間で、
「上がっては下がり、下がっては戻る」動きが何度も出ているため、
グリッド型の典型的なターゲット。
注意点
- 豪ドルは2025年に入ってから、G10通貨の中でも相対的に強い通貨の一つとされており、
米ドル安・資源高・中国関連の期待などで買われやすい地合いがあります。 - そのため、ユーロ高トレンド・豪ドル高トレンドが重なると、
片側に1,000pips以上走る可能性もある前提で、レンジと損切りラインを設計する必要があります。
このペアが向いている人
- 高ボラを活かして、「利確回数」を稼ぎたい人
- レンジ外に飛び出したときに、自分で設定を見直す手間をかけられる人
3-2. AUD/NZD(豪ドル/ニュージーランドドル)
- 現在レート:1.15前後(1AUD≒1.15NZD、2025年11月21日時点の終値ベース)
- 2025年のレンジ(年初〜11月):
1.0661〜1.1588(約930pipsの幅) - 52週レンジも 1.0649〜1.1641 と類似のレンジ。
特徴
- 豪ドルとNZドルは、ともに資源国通貨で、景気・金利サイクルが似ているため、
極端な一方通行トレンドになりにくく、レンジ相場になりやすいとされる。 - 2025年の実際の値動きも、1.07〜1.16の間を何度も往復しており、
「グリッドで挟みやすい典型的な通貨ペア」になっています。
加えて、松井証券の自動売買を解説している外部記事でも
「豪ドル/NZドルなどレンジ相場に強い通貨ペアが、自動売買との相性が良い」
と明記されています。
このペアが向いている人
- 「爆益より、安定してコツコツ」を重視する人
- 豪ドル絡みでリスクを取りたいが、対米ドルよりレンジ性を重視したい人
3-3. AUD/USD(豪ドル/米ドル)
- 現在レート:0.64台半ば(2025年11月21日の終値付近)
- 52週レンジ:0.5915〜0.6707(約790pips)
特徴
- 豪ドルはここ数カ月、ドル安や資源価格上昇の影響もあり、
対米ドルで年初から2桁%の上昇を見せている局面もあると報じられています。 - ただし1年スパンで見ると、0.59〜0.67のレンジを何度も行き来しており、
トレンドとレンジの両方の局面がはっきり出るペア。
このペアが向いている人
- 米雇用統計・CPI・FRB会合など、
ニュースと値動きのつながりを意識しながら運用したい人 - レンジ局面ではグリッド、トレンド局面では停止・縮小など、
モード切り替えを自分でやる前提で運用できる人
4. 松井証券での具体的な自動売買設定例
ここからは、松井証券FXの自動売買(リピート注文)で、実際に入力するイメージを3パターン示します。
松井証券の公式ヘルプによると、自動売買では次の項目を設定します。
- 売買(買い or 売り)
- 注文レンジ(上限レート・下限レート)
- 注文値幅(新規注文を並べる間隔、pips)
- 益出し幅(利確幅、pips)
- 運用停止ライン(任意の損切りレート)
- 1注文あたりの数量(通貨)
ここでは「レンジと値幅の考え方」にフォーカスし、ロット(数量)は各自の証拠金とリスク許容に応じて決める前提とします。
設定例①:EUR/AUD 売りメインの高ボラレンジ戦略
目的:
高ボラティリティを活かして、利確回数を多めに取りに行く戦略。
レンジ設計
- 52週レンジ:1.5899〜1.8555
- うち、極端な安値・高値(外側10〜15%)は「例外」とみなし、
自動売買用レンジ:1.68〜1.84(1,600pips幅)に絞る。
現状レート(約1.78)もこの中に入っているので、
「上がれば売り増し・下がれば利確が進む構造」を作りやすいゾーンです。
注文値幅・益出し幅
- 高ボラペアなので、30〜50pips刻みが現実的なライン。
- 例:0.0050(50pips)を注文値幅・益出し幅に統一
→ レンジ1.68〜1.84(1,600pips)を0.0050刻みで並べると、
約 32本 の注文が並ぶイメージ。
売り/買いの配分
グリッド型では「レンジ全体を両建てにする」より、
高値側で売りを厚く、中段〜下段で少し買いを混ぜる方がバランスが良いです。
一例:
- 1.78〜1.84:売りのみ
- 1.73〜1.78:売り7:買い3
- 1.68〜1.73:買い多め(ポジション調整用)
松井証券の自動売買は1通貨から発注可能なので、
最初は極小ロットで動きを確認 → 問題なければ数量を少しずつ増やすのが安全なステップです。
運用停止ラインの例
- レンジ上限:1.84
- **「1.86を明確に超えたら運用停止」**のように、
レンジ外に一段抜けたところに停止ラインを置くのが現実的です。
設定例②:AUD/NZD レンジ特化の安定運用
目的:
レンジ相場に強いAUD/NZDで、**「含み損を抱えながらも、長期的にコツコツ利確」**を狙う。
レンジ設計
- 2025年レンジ:1.0661〜1.1588
- 52週レンジ:1.0649〜1.1641
このうち、中心付近を厚めに使うイメージで、
- 自動売買レンジ:1.09〜1.16(700pips)
と設定。
現在レート(約1.15)より下にも上にも十分な余裕があり、
過去のデータ上も何度も行き来しているゾーンです。
注文値幅・益出し幅
AUD/NZDはEUR/AUDほどではないにせよ、
1日で数十pipsは普通に動く通貨ペアです。
- 例:0.0020(20pips)刻み
- 注文値幅=0.0020
- 益出し幅=0.0020
→ 700pipsレンジを20pips刻みで並べると、
約35本 の注文。
売り/買いの配分
AUD/NZDは長期的にみて
「1.05〜1.10台で反発しやすく、1.15〜1.16台で頭を抑えられやすい」構造が見られます(2025年の価格推移ベース)。
例として、
- 1.09〜1.12:買い厚めゾーン
- 1.12〜1.13:買い=売り
- 1.13〜1.16:売り厚めゾーン
と分けて、両方向にポジションを持ちながら、レンジの往復を狙う設計が考えられます。
運用停止ラインの例
- レンジ下:1.09
- レンジ上:1.16
一方向にブレイクしたときの想定
- 下に抜けた場合:1.07割れで停止
- 上に抜けた場合:1.17超えで停止
どちら側に抜けても、「一度運用を止めてレンジを再定義する」前提で設計します。
設定例③:AUD/USD レンジ+トレンド両用のハイブリッド
目的:
レンジ局面ではグリッドでコツコツ、
トレンド局面では新規発注を止めて様子を見る前提の戦略。
レンジ設計
- 52週レンジ:0.5915〜0.6707(約790pips)
- 現在レート:0.64台半ば
このうち、
- レンジ下:0.61〜0.64 → 買い優勢ゾーン
- レンジ上:0.64〜0.67 → 売り優勢ゾーン
と分け、**自動売買用レンジは0.61〜0.67(600pips)**とする。
注文値幅・益出し幅
AUD/USDも、1日で50〜100pips程度動くことが多い通貨ペアです。
- 例:0.0020(20pips)刻み
- 注文値幅=0.0020
- 益出し幅=0.0020
→ 600pipsレンジで約30本。
売り/買いの配分
- 0.61〜0.63:買いのみ
- 0.63〜0.64:買い7:売り3
- 0.64〜0.66:売り7:買い3
- 0.66〜0.67:売りのみ
このようにすると、
- 米ドル安・豪ドル高トレンドで上に抜けそうなとき
→ 売りポジションが増え、下がれば利確が連鎖 - 逆に下方向に行き過ぎたとき
→ 買いポジションが増え、戻りで利確
というグリッドの動きが作れます。
運用停止ラインの例
- 上方向:0.675〜0.680を明確に超えたら、新規発注停止
- 下方向:0.595割れで停止(52週レンジ下限付近)
トレンド方向に大きくブレイクした場合は、
グリッドではなく裁量 or 休むという割り切りが必要です。
5. どの通貨ペア・設定がどんな人に向いているか
PDFのテンプレ通りに、「向く人/向かない人」で整理します。
EUR/AUD 売りメイン
向く人
- 評価損の増減にメンタルを振り回されにくい人
- 高ボラを活かして、利確回数を増やしたい人
- 週1回程度はチャートを見てレンジや停止ラインを見直せる人
向かない人
- 含み損が増えるのを見たくない人
- ロスカットラインを数字で決めたくない人
AUD/NZD レンジ特化
向く人
- 「一撃より安定」を重視したい人
- 豪ドル系で自動売買を使いたいが、極端なトレンドは避けたい人
- 長期でコツコツ回すポジションを1本持ちたい人
向かない人
- ボラが大きくないとつまらないと感じる人
- 早く資金を増やしたい短期志向の人
AUD/USD ハイブリッド
向く人
- 米指標・金利・ニュースとチャートの関係を追うのが好きな人
- レンジとトレンドでモードを切り替える運用をしたい人
向かない人
- 定期的な見直しをしたくない人(完全放置だけで済ませたい人)
6. リスク・資金管理の前提(超重要)
松井証券の自動売買は「1通貨から」「手数料無料」で使えるため、
少額から試せるのが強みです。
ただしグリッド型は構造的に、含み損を抱える時間が長くなる手法です。
必ず、次の3点は数字で決めておくべきです。
- 口座に入れる資金と、「最悪なくなってもいい金額」
- 通貨ペアごとの上限ロット(最大ポジション数)
- 証拠金維持率○%を割ったら、新規発注を止める or 強制決済するルール
7. 悩みへの整理された答え
最後に、あなたが挙げた3つの悩みに、この記事の内容を対応させておきます。
悩み①
「最近の値動きでのグリッド型自動売買のおすすめ設定がわからない」
→ 本文で示した 3つの設定例
- EUR/AUD:1.68〜1.84、0.0050刻み、売りメイン
- AUD/NZD:1.09〜1.16、0.0020刻み、レンジ両建て型
- AUD/USD:0.61〜0.67、0.0020刻み、下買い・上売りのハイブリッド
これらはすべて 2025年11月時点の52週レンジや今年の値動きから逆算したレンジ設計になっています。
悩み②
「グリッド型自動売買のお勧め通貨ペアがわからない」
→ 直近のデータとレンジ性から、
- 第1候補:AUD/NZD(レンジ特化・安定志向)
- 第2候補:EUR/AUD(高ボラ・利確回数狙い)
- 第3候補:AUD/USD(ニュースも追いやすいメジャー通貨)
という整理が妥当です。
いずれも レンジ幅がはっきりしていて、直近1年の52週レンジも確認済みです。
悩み③
「松井証券での自動売買設定例を知りたい」
→ 松井証券公式が示す項目(注文レンジ・注文値幅・益出し幅・運用停止ライン)に沿って、
- 3通貨ペアそれぞれの
レンジ・刻み幅・方向(買い/売り)・停止ラインの位置
を具体的なレート付きで例示しました。
8. 免責事項
- 本記事は、2025年11月22日時点の公開データに基づいて作成していますが、
為替レートや金融政策は常に変動します。 - ここで示した設定例は「考え方の一例」であり、
将来の利益を保証するものではありません。 - 実際の運用前には、必ず最新のレートと証拠金条件を確認し、
ご自身の判断と余裕資金で取引してください。
グリッド型自動売買は、**「どの通貨ペアで」「どのレンジを」「どの刻み幅で」**戦うかを決めた時点で、勝負のかなりの部分が決まります。
あとは、今回のように 最新の52週レンジと現在値を必ず数字で確認するクセ をつけておけば、感覚ではなくロジックで設定を組めるようになっていきます。


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