Kindleで本を売ったら消費税はどうなる?課税売上・輸出免税・ロイヤリティをわかりやすく解説

Kindleで本を売ったら、消費税はどうなる?

ブログや副業をしていると、次のようなことを考える人は多いと思います。

「ブログ記事をまとめて、Kindleで電子書籍にしたい」
「自分の商品を作って、収入を自動化したい」
「でも、Kindleの売上って消費税ではどう判定するの?」

これ、かなり良い論点です。

なぜなら、Kindle出版は一見すると、

自分が読者に電子書籍を売っている

ように見えます。

しかし、消費税の判定では、ここを雑に考えると間違えやすいです。

結論からいうと、Kindleで本を売る場合は、次の2つに分けて考える必要があります。

① 読者がKindle本を買う取引
② 著者がAmazonからロイヤリティを受け取る取引

この2つをごちゃ混ぜにすると、課税判定を間違えます。


結論:Kindleロイヤリティは「輸出免税」になる可能性が高い

先に結論です。

日本在住の個人がKDP、つまりKindle Direct Publishingで電子書籍を販売する場合、あなたがAmazonから受け取るお金は、基本的には「本の売上」ではなく ロイヤリティ と考えます。

そして、KDP規約では、契約相手となるAmazon partiesとして、Amazon.com Services LLC、Amazon Media EU S.à r.l.、Amazon Services International LLCなどが挙げられています。(Amazon Kindle Direct Publishing)

また、Amazon.co.jpのKindleストア利用規約でも、読者側の契約相手はAmazon Services International LLCとされています。(Amazon)

そのため、著者側から見ると、

あなた
↓
Amazonの外国法人等に本の販売・配信に必要な権利を許諾する

Amazon
↓
あなたにロイヤリティを支払う

という形になります。

国税庁は、非居住者に対する著作権などの無体財産権の譲渡または貸付けは、輸出免税の対象になるとしています。(国税庁)

したがって、Kindleロイヤリティは、相手先がAmazon Services International LLCなどの外国法人であれば、不課税ではなく、輸出免税売上になる可能性が高い です。


まず、読者がKindle本を買う取引を考える

Kindle本は、紙の本ではありません。

電子書籍です。

国税庁は、電子書籍・音楽・広告の配信など、インターネット等を介して行われる役務提供を 電気通信利用役務の提供 としています。国内の事業者・消費者に対して行われるものは、国内・国外どちらから提供されても、国内取引として消費税の課税対象になります。(国税庁)

つまり、日本に住んでいる読者がKindle本を買う場合、その電子書籍販売には消費税が関係します。

KDPの公式ヘルプでも、日本在住の読者に販売される電子書籍・紙書籍には10%の消費税が適用され、電子書籍の希望小売価格には消費税が含まれると説明されています。(Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング)

たとえば、Kindle本を1,100円で販売した場合、イメージはこうです。

読者が支払う金額:1,100円
うち消費税相当:100円
税抜価格:1,000円

そして、KDPでは、出版者に支払われるロイヤリティは、消費税を差し引いた後の希望小売価格から計算されます。(Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング)

つまり、読者側の購入取引では、Amazon側で消費税が処理される形です。


次に、著者がAmazonから受け取るお金を考える

ここが本題です。

あなたの銀行口座に入ってくるお金は、読者から直接入ってくるわけではありません。

KDPでは、Amazon partyが本を販売し、その販売に対応するロイヤリティを著者に支払う形です。KDP規約でも、Amazon partyが販売した本について、著者にロイヤリティを支払うとされています。(Amazon Kindle Direct Publishing)

また、KDP規約では、Amazon partiesまたはその関連会社が、顧客への本の販売にかかる税金を徴収・納付する責任を負うとされています。(Amazon Kindle Direct Publishing)

つまり、著者側の入金はこう考えるのが自然です。

読者 → Amazon
Kindle本の購入

Amazon → 著者
ロイヤリティの支払い

だから、著者側の消費税判定では、

誰に対して、何を提供した対価なのか?

を見る必要があります。


著者はAmazonに何を提供しているのか?

KDP規約では、著者はAmazon partiesに対して、本を印刷・配信・販売・ライセンス・表示・保存・再ダウンロードさせるための権利を許諾しています。(Amazon Kindle Direct Publishing)

つまり、消費税の考え方としては、著者はAmazonに対して、

電子書籍コンテンツそのもの
または
著作権等の利用許諾

を提供していると見ます。

この場合、Amazonの取引相手が外国法人であれば、非居住者に対する著作権等の貸付け・利用許諾として、輸出免税になる可能性が高いです。

国税庁は、輸出免税の範囲として、非居住者に対する著作権・営業権などの無体財産権の譲渡または貸付けを挙げています。(国税庁)


図で見るとこうなる

【読者側の取引】

日本の読者
   ↓ 1,100円(税込)でKindle本を購入
Amazon
   ↓ 消費税を処理
税務当局


【著者側の取引】

著者
   ↓ 本の販売・配信に必要な権利を許諾
Amazonの外国法人等
   ↓ ロイヤリティを支払う
著者

このように、読者側の取引と著者側の取引は分けて考えます。


課税判定を表にするとこうなる

取引 消費税判定
日本の読者がKindle本を買う 電子書籍配信。消費税10%の対象
KDPで著者がAmazonからロイヤリティを受け取る 相手が外国法人なら輸出免税の可能性が高い
著者が自分のWordPressでPDFを日本の読者に直接売る 原則、課税売上10%
著者が自分のWordPressで海外読者に直接売る 読者の住所等によって国外取引・不課税になる可能性
紙の本を国内で直接販売する 原則、課税売上10%

「不課税」ではなく「輸出免税」と考えるのがポイント

ここはかなり大事です。

Kindleロイヤリティを見て、

Amazonは外国法人っぽい
じゃあ国外取引だから不課税?

と考えたくなります。

でも、いきなり不課税と考えるのは危険です。

消費税では、国外取引は不課税ですが、国内取引か国外取引かは取引内容によって判定します。国税庁は、資産の譲渡・貸付けや役務提供について、内外判定の考え方を示しています。(国税庁)

一方で、非居住者に対する著作権等の貸付けは、輸出免税の対象として明示されています。(国税庁)

そのため、Kindleロイヤリティは、単純に「外国からの入金だから不課税」と考えるより、

非居住者に対する著作権等の利用許諾
↓
輸出免税

と整理する方が実務上も試験上もきれいです。


輸出免税だと何がうれしいのか?

輸出免税は、消費税がかからない取引です。

しかし、非課税や不課税とは意味が違います。

国税庁は、輸出や輸出類似取引などの免税取引は、課税資産の譲渡等に当たるが、一定の要件を満たす場合に消費税が免除されるものだと説明しています。また、免税取引のために行った課税仕入れについては、原則として仕入税額控除ができます。(国税庁)

つまり、輸出免税はこういうイメージです。

売上にかかる消費税:0円
仕入れにかかる消費税:控除できる可能性あり

ブログ・電子書籍ビジネスでいえば、たとえば次のような費用が関係します。

  • レンタルサーバー代
  • ドメイン代
  • 表紙デザイン費
  • Kindle本の校正費
  • 画像素材費
  • 執筆用ソフト代
  • 参考書籍代
  • 外注費

輸出免税売上に対応する課税仕入れであれば、課税事業者の場合、仕入税額控除の対象になる可能性があります。


課税売上割合にはどう影響する?

輸出免税は、消費税率が0%のようなものです。

ただし、課税売上割合の計算では重要な扱いになります。

国税庁は、課税売上割合の分子である課税売上高には、輸出による免税売上高が含まれると説明しています。(国税庁)

つまり、Kindleロイヤリティが輸出免税になる場合、

課税売上割合の分子に入る
課税売上割合の分母にも入る

という扱いになります。

これは、Googleアドセンス収入などで問題になりやすい「不課税売上」とは違います。


免税事業者ならどうなる?

まだ消費税の免税事業者であれば、原則として消費税の申告・納付はありません。

ただし、将来的にKindle本やブログ収益が大きくなるなら、基準期間の課税売上高に注意が必要です。

国税庁は、個人事業者の場合、その年の前々年の課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として納税義務が免除されると説明しています。(国税庁)

また、基準期間の課税売上高には、消費税が課税される取引の売上金額だけでなく、輸出取引などの免税売上金額も含まれます。(国税庁計算サイト)

つまり、Kindleロイヤリティが輸出免税だからといって、

1,000万円判定に関係ない

とはなりません。

ここは注意です。


実務で確認すべきもの

Kindleロイヤリティを消費税で判定する場合、次の資料を保存しておくと安全です。

確認資料 見るポイント
KDP利用規約 Amazon parties、ロイヤリティ、権利許諾の記載
KDPレポート 販売国、ロイヤリティ金額、販売実績
支払い通知メール 支払内容、対象期間
銀行入金明細 振込依頼人名、入金額
価格設定画面 日本向け価格が税込かどうか
帳簿 輸出免税売上として区分できるようにする

国税庁は、輸出免税の適用を受けるためには、輸出取引等であることを証明する契約書その他の書類を保存する必要があるとしています。(国税庁)

Kindleの場合、紙の輸出許可書のようなものは出ません。

そのため、KDP規約、レポート、支払明細などをセットで保存するのが現実的です。


よくある間違い

間違い1:Kindle売上を全部「国内課税売上10%」にする

読者が日本人だからといって、著者側の入金をそのまま国内課税売上10%にするのは早いです。

著者の直接の入金相手は、読者ではなくAmazonです。


間違い2:外国法人からの入金だから全部「不課税」にする

これも危険です。

非居住者に対する著作権等の貸付けは、輸出免税として整理される可能性があります。

不課税と輸出免税では、課税売上割合や仕入税額控除の扱いが変わります。


間違い3:免税事業者だから何も記録しない

免税事業者でも、将来課税事業者になる可能性があります。

また、課税売上高1,000万円判定でも、輸出免税売上は関係します。

最初からKDPレポートと入金明細を保存しておくべきです。


まとめ

Kindleで本を売る場合の消費税判定は、次のように整理できます。

日本の読者がKindle本を買う
↓
電子書籍配信なので消費税10%の対象

著者がAmazonからロイヤリティを受け取る
↓
相手がAmazon Services International LLCなどの外国法人なら
非居住者に対する著作権等の利用許諾として
輸出免税になる可能性が高い

一番大事なのは、

読者への販売取引と、著者へのロイヤリティ支払いを分けて考えること

です。

Kindle出版は、ブログ収益を自動化するうえでかなり相性が良い方法です。

ただし、消費税では、

課税売上
輸出免税売上
不課税売上

を正しく分ける必要があります。

特にKindleロイヤリティは、不課税ではなく輸出免税として考える余地が大きい ので、KDP規約・支払明細・レポートを保存し、課税事業者になる前から帳簿で区分できるようにしておきましょう。

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